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働くルール

会社で働く時の基本ルール 【労働時間と時間外労働・割増賃金編】

みなさまごきげんよう!

会社や店舗などの組織で働く時の法律を分かり易く解説していきます。

今回は労働時間、残業(時間外労働)、割増賃金のことを中心に取り上げます。

・就職活動中だけど、よく分からない用語がいっぱい

・会社員として働いているけど、今の会社のルールは正しい!?

・管理職になったけど、労務管理の知識が全くない

・初めて人を雇用することになったけど、決まりってあるの!?

そんな人向けに基礎とポイントがスッキリわかる記事です。

法定労働時間と所定労働時間

労働時間についての法律・決まりを理解するにはこの2の違いを抑える必要があります。

法定労働時間とは

・法律で決められている上限の労働時間のこと

・1日8時間、1週間40時間をそれぞれ超えないこと

所定労働時間とは

・会社や店舗でそれぞれ決められている労働時間のこと

・法定労働時間を超える決まりを作ってはいけない

  • どちらも休憩時間とは別で計算することになっています。

実際に世の中の会社やお店などもこの仕組みで運用されています。
法律の範囲内で社員に働いてもらう時間を会社が決めています。

多くの会社が導入している「変形労働時間制」とは

特例として、「変形労働時間制」があります。

「1ヵ月」「1年」などを平均して法定労働時間に収まれば良いという制度です。

仕事によっては時期によって忙しさが違う場合がありますよね。

「1か月」の中で月末が絶対に忙しくなる・・・でも月初は暇

「1年」の中で夏場が絶対に忙しくなる・・・でも冬場は暇

分かっているのに、どの期間も同じ労働時間にするのは非効率ですよね。

これを「効率よく柔軟」に対応する為の制度が「変形労働時間制」です。

「変形労働時間制」には主に3種類があります。

・1ヵ月単位の変形労働時間制

・1年単位の変形労働時間制

・1週間単位の非定型的変形労働時間制

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

1ヵ月単位の変形労働時間制

・1ヵ月以内の期間で働く時間を変えること
 (平均して週40時間以内になることが必要)

・就業規則又労使協定が必要

1年単位の変形労働時間制

・1ヵ月以上1年以内の期間で働く時間を変えること
 (平均して週40時間以内になることが必要)

・この制度導入には必ず労使協定が必要

・原則、1日について最大10時間、連続勤務は6日まで

会社としては実際に導入する場合は他にも決めることが沢山あります。

「1ヵ月」「1年」変形労働時間制を導入している会社は結構あります。

国が公表しているデータ(平成31年調査)

変形労働時間制を採用している企業=59.6%

約6割なので、半分以上の企業が導入しているということですね。

1週間単位の非定型的変形労働時間制

・1週間の期間で働く時間を変えること

・働いている人が30人以下の小売業、旅館、料理店、飲食店のみ対象

・この制度導入には必ず労使協定が必要

絶対抑えておきたい「36(サブロク)協定」

残業のことで、絶対に抑えておきたいのが「36協定」です。

正式には「時間外・休日に関する協定届」といいます。

社員に「残業」してもらうには「36協定」締結が必須です。

・「どんな時に何時間の残業」してもらうかを明記する

・会社側と労働者の代表で締結(約束)する

・労働基準監督署に届出が必要

これが「36協定」主な内容とポイントです。
これを行っていないと会社としては残業をしてもらうことが出来ません。

ちなみに「36協定」という言葉は

労働基準法の36条(規定が決まっている法律条文)

からきています。そこはあまり気にしなくて大丈夫ですね。

時間外労働の上限規制(2019年4月に法律改正)

「36協定」には「上限時間」も決まっています。

いくらでも労働時間を延長できる訳ではないということです。

【原則の限度時間】

  • 1ヶ月・・・45時間
  • 1年間・・・360時間

【特別条項】
年間でどうしても忙しい繁忙期などが確実で、限度時間の時間外勤務を
超えることが確実な場合は「特別条項付き36協定」があります。
年6月までは上限時間(45時間)を超えることも認められています。

少し難しい内容になってしまいましたが、次のイメージです。

専門的には他にも決まりがある為、実際には注意が必要です。

・1年の上限は720時間以下

・1ヶ月の上限は100時間以下

・2ヶ月ないし6ヶ月の時間外・休日労働時間の平均は月80時間以内

割増賃金(わりましちんぎん)の決まり

法律で次の3つは働く人の負担が大きいとされています。

①法定労働時間以上の仕事(いわゆる「残業」)

②法定休日の仕事(月に4回の休みがない場合など)

③深夜時間帯の仕事(22時~翌5時・いわゆる「夜勤」)

「身体的」にも「精神的」にも負担がかかることになります。

  • 通常のお給料よりも高くすることが求められています。

この高くなる部分を「割増賃金」と言います。

では、どれぐらいの割増になるかは次の表を見てみましょう。

理解を深める為に時給1,000円の人を例に見ていきましょう。

【残業した場合の例】

・9時から18時の8時間(休憩1時間)働く予定の人

→結果的に仕事の終わる時間が19時になってしまった。

18時から19時の1時間は1,250円(25%増)以上のお給料になる。

→この日のお給料は9,250円になります。
(1,000円×8時間+1,250円×1時間)

【深夜勤務した場合の例】

・22時~翌6時(休憩2時~3時で1時間)働いた人

22時から翌5時は1,250円(25%増)以上のお給料になる。

→この日のお給料は8,500円になります。
(1,000円×1時間+1,250円×6時間)

正社員の方がで深夜勤務を行うと「夜勤手当」が支給されたりしますよね。

この「夜勤手当」には割増分が含まれていることが一般的です。

休憩に関する決まりごと

「その日の働く時間」に応じて休憩に関することも決まっています。

6時間以下・・休憩なしでも良い

6時間超え8時間以下・・最低45分

8時間を超える・・最低1時間

ぶっ通しで働くのはさすがに疲れも溜まってミスの可能性も高くなります。

休憩時間は労働時間の途中に取るということが法律で決まっています。

まとめ

仕事はほとんどの人の生涯において一番時間を使うものです。

でも最低限の法律やルールを知らないだけで、会社にも働く人にも大きなデメリットがあります。

・会社と働く人の信頼関係が崩壊する

・悪気がなくても法律違反になってしまう

・行政機関の立ち入り検査があり、大きなお金が必要になる

事情があるにしても、どれも嫌な気分になってしまいます。

現代は情報がとても手に入り易い時代です。

・会社にとっても、働く人と信頼関係を構築し力を発揮してもらう

・働く人にとっても正しく運用されていたら安心して仕事が出来る

これこそが、より良い社会を創っていく基盤になりそうですね。

それでは、また(^^)

ABOUT ME
タクヤ
社会保険労務士